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大腸ポリープ

大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸の内壁(粘膜)にできる隆起したできものの総称です。

自覚症状がないことが多く、健康診断や人間ドックの内視鏡検査などで偶然見つかるケースがほとんどです。一部のポリープは放置すると大腸がんに進行するため、早期発見と適切な処置が重要です。

良性と悪性の違い

大腸ポリープは、「良性」と「悪性(がん)」に分類されます。良性ポリープの中にも、将来的にがん化するリスクがあるものが含まれており、特に腺腫性(せんしゅせい)ポリープは切除が推奨されます

悪性と診断された場合は、追加治療が必要になることもあります。

大腸ポリープの主な種類

大腸ポリープは、腫瘍性ポリープ非腫瘍性ポリープの2つに大きく分けられます。これらは性質やがん化リスクが異なるため、分類に応じて治療方針が変わります。

大腸ポリープの種類と分類

腫瘍性ポリープ(がん化の可能性があるもの)

種類特徴
良性腫瘍(腺腫・SSL)将来的にがん化するリスクがあるため、切除が推奨される
悪性腫瘍がんとして扱われ、追加治療(リンパ節評価など)が必要になる場合も

非腫瘍性ポリープ(良性、がん化リスクが低いもの)

種類特徴
過形成性ポリープがん化リスクは極めて低く、経過観察で済むことが多い。
炎症性ポリープ大腸炎や潰瘍性大腸炎などの炎症に伴ってできる。治療対象にならないことが多いが、基礎疾患のコントロールが重要。
過誤腫性ポリープ先天的な異常による。
稀にがん化を伴うものもある。

このように分類することで、がん化の可能性が高いかどうかを判断し、適切な治療方針を決める手がかりになります

特に腫瘍性ポリープの場合は、早期発見・早期切除ががん予防につながるため非常に重要です

大腸ポリープの原因とリスク要因

加齢と遺伝の影響

大腸ポリープは、年齢を重ねるほど発生頻度が高くなることがわかっており、特に50歳以上で発見率が上昇します。

さらに、血縁者に大腸がんの既往がある場合、注意深い経過観察が推奨されます。

大腸がんの多くは生活習慣や加齢に由来しますが、明確な遺伝性疾患が約5%、家族歴があるが遺伝的要因が不明なものが約25〜30%あると言われています。

家族歴がある方は、若年でも発症することがあるため、早期の内視鏡検査を推奨します。

食生活・生活習慣の関係

日常の食事内容や生活習慣も大腸ポリープの形成に関与しています。以下のような要因は、リスクを高めると考えられています。

  • 高脂肪・低食物繊維の食事(例:肉中心、野菜不足)
  • アルコールの過剰摂取や喫煙習慣
  • 肥満・運動不足
  • 慢性的な便秘や腸内環境の悪化

反対に、バランスの良い食事や定期的な運動は予防に効果があるとされており、生活改善も大切な予防策となります。

その他の疾患との関連

以下のような消化器疾患や全身性の病気が、大腸ポリープの発症リスクと関係する場合があります。

  • 潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性炎症性腸疾患
  • 2型糖尿病(インスリン抵抗性との関連が指摘されています)
  • 免疫機能の低下やホルモンバランスの変化

このように、大腸ポリープは複数の要因が重なって形成される多因子性の病変と考えられています。リスクが高いと判断される場合は、定期的な検査を行うことが予防の第一歩です。

大腸ポリープの症状と気づき方

大腸ポリープは自覚症状がない場合が多い

大腸ポリープは、腸の内側に静かにできるため、痛みや違和感などの自覚症状が出にくいのが特徴です。特に腺腫性(せんしゅせい)ポリープや鋸歯状(きょしじょう)ポリープといったがん化のリスクがあるタイプでも、無症状のまま進行することがあります

そのため、「症状がないから大丈夫」と考えず、定期的な内視鏡検査で早期発見・治療を行うことが、大腸がん予防の鍵となります

出血・便通異常のサイン

ポリープが大きくなったり、粘膜を刺激する位置にできた場合は、以下のような症状が出ることもあります。

  • 血便(便に血が混じる)
  • 便が細くなる
  • 下痢や便秘などの便通異常
  • 腹部の違和感や膨満感

ただし、これらの症状は大腸がんや他の腸疾患でも見られるため、自己判断は危険です。少しでも気になる症状があれば、早めに消化器内科を受診することをおすすめします。

大腸ポリープの検査方法

便潜血検査

便潜血検査は、便に微量な血液が混じっていないかを調べる簡易検査で、自治体のがん検診などでも広く用いられています。

食事制限などの準備が不要で手軽に受けられるメリットがありますが、出血していないポリープやがんは見逃される可能性があるという限界があります。

陽性反応が出た場合には、確定診断のために大腸内視鏡検査が必要です。

内視鏡検査

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、肛門からスコープを挿入して大腸全体を観察する検査です。ポリープの有無や形状、色調などを直接確認できるため、信頼性の高い検査方法とされています。

検査中にポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能で、診断と治療を同時に行えるのが大きな特徴です。

当院では、日帰りでの内視鏡検査・切除にも対応しており、患者様の身体的・時間的負担を最小限に抑えています。

大腸ポリープの治療法

大腸ポリープの治療は、発見されたタイミングでそのまま内視鏡で切除するのが一般的です。多くの場合、入院の必要はなく、当院でも日帰りでの切除に対応しています

ポリープの大きさや形によって、適した切除方法が選ばれます。

内視鏡検査で切除できる治療法

ポリペクトミー

ポリペクトミー

スネアというワイヤー状の輪を使い、ポリープの根元を高周波電流で焼き切る方法です。

最も標準的で実績のある切除法で、ポリープの大きさや位置に応じて柔軟に対応できます。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

平らな形状のポリープに対して行われる方法です。生理食塩水などの薬液を注入してポリープを浮かせたうえで、スネアで切除します。

周囲の組織へのダメージを抑えつつ、しっかりと深部まで除去できるのが特徴です。

大きなポリープに対して行う治療法

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)
画像引用:日本消化器学会「患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド2023」

ESDは、大きくて平らなポリープや広がりのある病変に対して行う高度な切除法です。

まず、病変の下に薬を注入して少し浮かせ、専用の電気メスを使って周囲の粘膜を慎重に切り開きながら、少しずつ病変をはがすようにして取り除きます。

ただし、体への負担がやや大きくなるため、多くの場合は入院で行われます。

大腸ポリープ切除にかかる費用

症状(血便、便秘、下痢など)や検診の結果で必要とされた場合は保険適用となります。以下は、自己負担割合ごとの目安です。

検査内容3割負担2割負担1割負担
検査のみ約6,000円約4,000円約2,000円
炎症などがあり病理組織検査を行った場合10,000円〜20,000円6,000円〜12,000円3,000円〜6,000円
ポリープの切除20,000円〜30,000円13,000円〜20,000円7,000円〜10,000円

ポリープの有無で費用が大きく変わるため、実際の請求額は検査後に確定することが一般的です。

※企業健診などの一部自費診療の場合は料金が異なります。詳しくはお問い合わせください。

費用に含まれるもの

  • 検査前の問診・診察
  • 下剤などの前処置薬
  • 大腸内視鏡検査
  • 鎮静剤使用(ご希望の場合)
  • 検査後の結果説明
  • 検査画像の提供

治療後の生活と再発予防

大腸ポリープを切除した後は、日常生活に戻るまでの過ごし方や、再発予防のための生活習慣の見直しが重要です。

手術後の注意点(食事・運動など)

内視鏡でポリープを切除した場合、通常は数日間で日常生活に戻れますが、以下のような点に気をつけて過ごしましょう。

項目注意点
食事・切除当日や翌日は消化に良い食事をしてください
・脂っこいものや刺激物は避けてください
運動激しい運動や腹圧がかかる動作は出血予防のため数日間は控えてください
入浴・当時は軽いシャワーは可能です
・2~3日間は湯船につかるのは避けましょう
アルコール血流がよくなり出血しやすくなるため、術後数日は控えてください

異常な腹痛や出血、発熱などがある場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。

定期検査の必要性

ポリープを切除しても、再びできる可能性があるため、定期的な内視鏡検査を推奨します初回の検査結果やポリープの種類・数により、次回検査までの間隔が決まります。

一般的には、

  • 腺腫が複数見つかった方:1〜3年以内に再検査
  • 1個だけで小さい場合:3〜5年ごと

など、個別のリスクに応じた対応が必要です。担当医と相談し、自分に合った検査スケジュールを把握しておきましょう。

生活習慣の見直しで再発を防ぐ

大腸ポリープの再発リスクを下げるには、日常の食生活や生活習慣の改善が大きなポイントになります。

  • 野菜や食物繊維を多く含む食事を意識する
  • 過度な飲酒・喫煙を避ける
  • 適度な運動習慣を取り入れる
  • 便通を整え、腸内環境をよく保つ

これらの取り組みは、再発予防だけでなく、大腸がんの予防にもつながります。治療後は「終わり」ではなく、「これからの健康維持」のスタートととらえることが大切です。

大腸がんを防ぐために

大腸ポリープは、多くの場合は無症状で見過ごされがちですが、放置すると大腸がんに進行するリスクがあるため、定期的な検査での早期発見・切除が何よりも重要です。特に家族に大腸がんの既往がある方や、40代以降の方は注意が必要です。

当院では、日帰りで受けられる内視鏡検査やポリープ切除に対応しており、できるだけ患者様の負担を軽減することを心がけています。「気になるけど、怖い」「時間が取れない」といった方も、まずは一度ご相談ください。

安心して検査・治療に臨んでいただける環境を整えております。大腸がんを予防する第一歩として、早めの内視鏡検査をぜひご検討ください。

執筆医師

内視鏡ベルラクリニック銀座 院長 髙橋 敬二

髙橋 敬二

【経歴】
東邦大学医学部卒業
東邦大学医学部付属大森病院
大森赤十字病院消化器科
松島クリニック 副院長
松島クリニック汐留院 院長

【資格】
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会学術評議員・関東支部評議員
日本内科学会認定内科医
人間ドック認定医

【所属学会】
日本内科学会
日本消化器内視鏡学会
日本消化器病学会
日本大腸肛門病学会
日本人間ドック学会

【参照元】

髙橋 敬二

内視鏡ベルラクリニック銀座
院長髙橋 敬二

丁寧なご説明を心がけ、患者さまのご負担ができる限り少なくなるよう配慮しながら、安心して検査に臨んでいただける体制を整えております。

皆さまが安心して検査・治療を受けられるよう、誠意をもって診療にあたってまいります。どうぞお気軽にご相談ください。