豆知識:「胃カメラ」と「胃内視鏡検査」の違い
多くの方が「胃カメラ」と呼んでいる検査ですが、実は正確には「胃内視鏡検査」といいます。
「カメラ」という表現だと撮影だけをイメージしますが、内視鏡は観察・診断・組織採取・治療まで可能な高度な医療機器です。当院では医学的に正確な「胃内視鏡検査」という表現を使用しています。
もちろん「胃カメラ検査を受けたい」とおっしゃっていただいても問題ありません。
患者様により正確で安全な検査をご提供するために、適切な医学用語を使用していることをご理解いただければと思います。
銀座で胃内視鏡検査をお考えの方へ

胃内視鏡検査をおすすめする方
- 胃の痛みや不快感が続いている
- 食後に膨満感や吐き気を感じることがある
- 胸やけ・のどのつかえ感が続く
- 黒っぽい便が出た・血便が出た
- 便潜血検査で陽性診断が出た
- 胃がんの家族歴がある
- 過去に胃潰瘍や慢性胃炎と診断されたことがある
- 健康診断で胃の異常を指摘された
年代別の胃内視鏡検査の推奨頻度
胃内視鏡検査の推奨頻度は年齢やリスク要因によって異なります。当院では以下の頻度での検査をおすすめしています。
40歳未満の方 | 特に症状がなければ必須ではありませんが、胃の不調が続く場合や家族歴がある場合は検査をおすすめします。 |
---|---|
40歳〜49歳の方 | 2〜3年に1回の検査が望ましいです。特にピロリ菌感染のリスクがある方(50歳以上の両親がいる方など)は定期的な検査をおすすめします。 |
50歳〜64歳の方 | 1〜2年に1回の検査が推奨されます。この年代から胃がんのリスクが徐々に高まるため、定期的な検査が重要です。 |
ピロリ菌感染者や胃がんの家族歴がある方は、年齢に関わらずより頻繁な検査が必要な場合があります。また、過去に胃ポリープや腸上皮化生などが見つかった方も、医師の指示に従った定期検査をおすすめします。
健康診断との違いと検査のメリット
バリウム検査と胃内視鏡検査の違い
比較項目 | バリウム検査 | 胃内視鏡検査 |
---|---|---|
検査精度 | 約70〜80% | 約90%以上 |
粘膜の色調変化 | 確認できない | 詳細に観察可能 |
病変発見時の対応 | 別途検査が必要 | その場で組織採取可能 |
被ばく | あり | なし |
検査時間 | 約15分 | 約5〜10分 |
健康診断のバリウム検査で「要精密検査」となった場合、多くは胃内視鏡検査が必要になります。最初から胃内視鏡検査を選択すれば、粘膜を直接観察でき、必要に応じてその場で組織採取も可能です。
つまり、胃内視鏡検査なら「何かある」から「何があるのか」まで一度でわかるため、不安な待機期間や再検査の手間を省けます。
現代の胃内視鏡はより細くなり、鎮静剤の使用で苦痛も大幅に軽減されています。「バリウムが苦手」「検査後の便秘が辛い」という方には特におすすめです。
胃内視鏡検査でわかる主な疾患
食道の疾患
- 逆流性食道炎
- 食道がん
- バレット食道
- 食道静脈瘤
- 食道潰瘍
- 食道アカラシア
- 好酸球性食道炎
胃の疾患
- 急性胃炎/慢性胃炎
- ピロリ菌感染性胃炎
- 胃潰瘍
- 胃ポリープ
- 胃がん(早期・進行)
- 胃粘膜下腫瘍(GISTなど)
- 胃アニサキス症
- 胃前庭部狭窄
- メネトリエ病(巨大肥厚性胃炎)
十二指腸の疾患
- 十二指腸潰瘍
- 十二指腸がん
- 十二指腸ポリープ
- 乳頭部腫瘍
- 十二指腸炎
- セリアック病(まれ)
その他(間接的に分かる可能性あり)
- 貧血の原因となる消化管出血
- 消化管の異物誤飲
- 全身疾患の一部所見(鉄欠乏性貧血やアミロイドーシスなど)
当院の胃内視鏡検査の特徴
1. 25年の実績|熟練医師が全検査対応

当院では、25年以上の内視鏡検査の経験を持つ医師が全ての検査を担当しています。
これまでに大腸内視鏡だけで30,000件以上、胃内視鏡を含めると50,000件以上の症例実績※があり、この豊富な経験がスムーズで正確な検査を実現しています。
内視鏡検査は医師の技術によって検査の精度や患者様の苦痛度が大きく異なります。当院では熟練した技術で無駄な動きを減らし、短時間で精密な検査が可能です。
消化器内視鏡専門医の資格を持つ医師による検査で、微細な病変も見逃さない観察眼で早期発見・早期治療につなげます。
不安や疑問があれば、検査前後に丁寧にご説明いたしますので、どうぞお気軽にご相談ください。
※院長 髙橋敬二の内視鏡検査実績 1996年6月〜2025年6月
2. 鎮静剤で眠ったまま楽に受けられる

「胃内視鏡検査は苦しい」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
当院では、鎮静剤(静脈麻酔)を使用した無痛内視鏡検査を提供しています。鎮静剤の使用により、検査中はうとうとした状態または完全に眠っている状態となり、不快感や苦痛をほとんど感じることなく検査を受けられます。
「目を覚ましたら検査が終わっていた」と驚かれる方がほとんどです。使用する鎮静剤は安全性の高い短時間作用型の薬剤で、検査中は血圧や酸素飽和度などを常時モニタリングし、安全管理を徹底しています。
胃内視鏡検査に不安のある方、過去につらい思いをしたという方も、ぜひご相談ください。
3. 忙しい方にも!胃と大腸の同日検査に対応

当院では胃内視鏡と大腸内視鏡の同日検査に対応し、2回の来院が1回で済むよう配慮しています。これにより時間を効率的に使えるだけでなく、消化器系全体の健康状態を一度に把握することができます。
特に原因不明の貧血や腹部症状がある方には、総合的な診断が可能になるメリットがあります。検査は通常、胃内視鏡検査を先に行い、その後に大腸内視鏡検査を実施します。
両方とも鎮静剤を使用するため、連続検査でも苦痛は最小限です。前処置と当日の拘束時間はやや長くなりますが、総合的に見れば負担が少なく、多くの患者様に好評いただいています。
4. 検査後の体調に配慮したフルサポート体制

胃内視鏡検査後、特に鎮静剤を使用した場合は一時的な眠気やふらつきがあります。
当院では患者様の安全を第一に考え、検査後の回復に配慮したリカバリールームを完備しています。検査直後はベッドでゆっくりとお休みいただき、看護師が定期的にバイタルチェックを行います。
体調に応じて検査室からリカバリールームまでストレッチャーでの移動も可能です。鎮静剤の効果には個人差があるため、十分な回復時間を確保しています。
検査後の喉の違和感や膨満感への対応方法もアドバイスし、必要に応じて緩和のための処方も行います。
お帰りは1人で問題ない場合がほとんどですが、当日は自転車・車の運転は避けてください。高齢の方には付き添いをお願いすることもあります。
5. お体に合わせて選べる複数種類の下剤をご用意
大腸内視鏡検査の前処置として必要な下剤の服用は、多くの方にとって負担に感じる部分です。
当院では患者様の体質やライフスタイルに合わせて選べる複数種類の下剤をご用意しています。低容量高濃度タイプ、分割服用タイプ、錠剤タイプ、味を改良した飲みやすいタイプなど、様々な選択肢があります。
事前の問診で腎機能や心臓の状態、過去の下剤使用経験などを詳しくお伺いし、最適な下剤を選択・提案します。
また、下剤の飲み方や効果を高めるコツ、副作用が出た場合の対処法も詳しくご説明します。前処置の質は検査の精度に直結するため、患者様の負担を最小限に抑えながら、高精度な検査を実現しています。
胃内視鏡検査の流れ
STEP1:受付・問診(10〜20分)

来院されましたら、まず受付を済ませ、問診票にご記入いただきます。現在の症状や既往歴、服用中のお薬について詳しくお伺いします。
特に抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用されている方は、事前にご相談ください。これらのお薬は検査前に休薬が必要な場合があります。
不安なことや疑問点があれば、この時点でお気軽にお申し出ください。
STEP2:検査前の準備(5〜10分)

検査着に着替えていただき、必要に応じて点滴の準備をします。胃内視鏡検査では、主に以下の2つの方法から選択していただけます。
- 通常の経口内視鏡:のどに局所麻酔スプレーを噴霧し、咽頭反射(吐き気)を抑えます。麻酔が効くまで約5分程度お待ちいただきます。
- 鎮静剤を使用した検査:点滴から鎮静剤を投与し、うとうとした状態で検査を行います。鎮静剤はほとんどの方が「眠ってしまった」と感じるほど効果的で、検査中の苦痛や不快感を大幅に軽減できます。
検査方法についてはご希望をお伺いし、体質や健康状態を考慮して最適な方法をご提案します。
STEP3:検査の実施(5〜10分)

検査室でベッドに横になり、マウスピース(噛み合わせ防止用の器具)をお口に装着します。鎮静剤を使用する場合は、この時点で投与します。検査中は常に看護師がそばで安全確認を行いますので、ご安心ください。
内視鏡の挿入時に一時的な違和感を感じることがありますが、当院の院長は25年の経験に基づく熟練した技術で、負担を最小限に抑えた挿入を心がけています。
検査自体は通常5〜10分程度で終了します。検査中に異常が見つかった場合は、必要に応じてその場で組織を採取(生検)することがあります。
STEP4:検査後の回復(約30分)

検査終了後は、リカバリールームでお休みいただきます。
通常の検査であれば15分程度、鎮静剤を使用した場合は30分程度の休憩をとっていただきます。
喉の麻酔が切れるまでは飲食を控えていただきますが、麻酔の効果が薄れるとスタッフがお声がけしますので、その後に水分をお取りいただけます。
STEP5:結果説明(5分)

検査結果については、当日に写真とともに医師から直接説明いたします。検査中に撮影した画像をご覧いただきながら、わかりやすく丁寧に説明します。
生検を行った場合は、検査結果が出るまで約1週間かかりますので、後日再度ご来院いただきます。
検査結果に基づいて、必要に応じて治療計画や生活習慣のアドバイスをいたします。定期的な検査が必要な場合は、次回の検査予約もこの時点でお取りいただけます。
検査前の準備と注意点
食事制限について
検査では胃の中を詳しく観察するため、胃を空にしておく必要があります。
- 午前中の検査:前日夜10時以降は飲食をお控えください
- 午後の検査:検査当日の朝は軽い食事(お粥など)まで可能です。検査の6時間前からは絶食してください
- 水分:検査の2時間前までは少量の水やお茶(砂糖・ミルクなし)は飲んでいただけます
- 飲酒:検査前日の飲酒は控えてください。アルコールは胃粘膜を刺激し、炎症や充血を引き起こす可能性があります
胃に食物が残っていると、観察が難しくなるだけでなく、検査中の吐き気や誤嚥のリスクも高まります。適切な準備で安全で質の高い検査ができます。
検査後の注意点
- 検査当日は車・バイク・自転車の運転はできません
- 基本的に一人で帰宅しても問題ありませんが、高齢の方には付き添いをお願いすることもあります
- 検査当日は重要な契約や判断を要する業務、精密な作業は避けてください
- 鎮静剤を使用した場合は、当日の飲酒は控えてください
- 鎮静剤を使用しない場合でも、のどの麻酔が完全に切れるまで(約2時間)は飲酒を避けてください
胃内視鏡検査にかかる費用
症状がある、または検診の結果「要精密検査」となった場合は保険適用となります。
このときの自己負担の目安は、以下の通りです。
検査内容 | 3割負担 | 2割負担 | 1割負担 |
---|---|---|---|
検査のみ | 約4,000円 | 約3,000円 | 約2,000円 |
炎症などがあり病理組織検査を行った場合 | 9,000円〜12,000円 | 6,000円〜8,000円 | 3,000円〜4,000円 |
※企業健診などの一部自費診療の場合は料金が異なります。詳しくはお問い合わせください。
費用に含まれるもの
- 検査前の問診・診察
- 胃内視鏡検査
- 鎮静剤使用(ご希望の場合)
- 検査後の結果説明
- 検査画像の提供
胃内視鏡検査に関するよくある質問
執筆医師
-
髙橋 敬二
- 【経歴】
東邦大学医学部卒業
東邦大学医学部付属大森病院
大森赤十字病院消化器科
松島クリニック 副院長
松島クリニック汐留院 院長
【資格】
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会学術評議員・関東支部評議員
日本内科学会認定内科医
人間ドック認定医
【所属学会】
日本内科学会
日本消化器内視鏡学会
日本消化器病学会
日本大腸肛門病学会
日本人間ドック学会
【参照元】