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2026/02/20

2026/02/20

大腸がんの末期症状とは? 手遅れになる前に知っておきたい予防と治療

大腸がん

「最近、便に血が混じる」「便秘と下痢を繰り返す」といった不調を、単なる体調不良だと見過ごしてはいないでしょうか。それは、体が発する大腸がんの危険信号かもしれません。

大腸がんは、ステージⅣの5年相対生存率が約16.2%の病気です。(※1)しかし、末期と診断されても、がんの進行を抑え、つらい症状を和らげる治療の選択肢は存在します。

この記事では、手遅れになる前に知っておくべき大腸がん末期のサインから、様々な治療法、予防法までを詳しく解説します。正しい知識の習得が、あなたと大切な人の未来を守る第一歩になります。

大腸がん末期に現れる主な症状と診断方法

大腸がんの末期とは、がんが大腸から離れた臓器(肝臓や肺など)にまで広がった「ステージⅣ」を指すことが一般的です。ステージⅣでは、がんが体のさまざまな場所に影響を及ぼし、痛みやだるさ、お腹の不調など、つらい症状が現れやすくなります。

ここでは、大腸がん末期に現れる主な症状と診断方法として、以下の内容を解説します。

  • 大腸がんの末期診断(ステージⅣ)に必要な検査と腫瘍マーカー
  • 腹痛・腹部膨満感・黄疸などの身体症状
  • 血便・下痢・便秘などの便通異常
  • 吐き気・食欲不振・体重減少
  • 肺・肝臓・骨への遠隔転移による症状

大腸がんの末期診断(ステージⅣ)に必要な検査と腫瘍マーカー

大腸がんがステージⅣであると診断するためには、がんが広がっている範囲を正確に把握することが必要です。大腸がんの診断には、以下のような専門的な検査が行われます。

診断名主にわかること特徴・役割
CT検査肝臓・肺・リンパ節など全身への転移の有無や広がり・X線で体の断面を撮影
・末期(ステージⅣ)での転移範囲の把握に役立つ
MRI検査肝臓転移や骨盤内でのがんの広がり・磁気を使い詳細な画像を得る
・CTより細かい情報が得られることがある
PET・CT検査小さな転移や予期しない部分のがん・がん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用
・CTだけでは見つかりにくい病変の発見に役立つ
大腸内視鏡検査大腸内のがんの場所や大きさ形・カメラで直接観察する
・組織を採取して確定診断する
腫瘍マーカー血液中のがん関連物質の量・血液検査で測定
・診断の決め手ではなく治療効果の評価や最初の早期発見の目安

腹痛・腹部膨満感・黄疸などの身体症状

大腸がんが末期まで進行すると、腹痛や腹部膨満感、黄疸などの身体症状が現れます。がんが大きくなることで、大腸内の空間が狭くなり、便・ガスが通りにくくなったり、腹水が溜まったりすることが原因です。

黄疸は、大腸がんが肝臓に転移した場合に皮膚や白目が黄色くなる症状です。肝臓がんになって肝機能が低下し、胆汁に含まれる黄色い色素(ビリルビン)の処理ができなくなって生じます。がん転移により、胆汁の通り道である胆管を圧迫し、胆汁の流れを止めてしまうことも黄疸の原因として考えられています。

黄疸になると、体のだるさやかゆみを伴うおそれがあります。肝臓は、大腸がんの転移先として最も多いことが報告されており、「体が黄色っぽくなった」と感じたら早めに医療機関を受診しましょう。(※2)

血便・下痢・便秘などの便通異常

血便・下痢・便秘などの便通異常は、大腸がんの初期症状でもありますが、末期(ステージⅣ)でも見られます。がんからの出血や、がんによる腸の狭窄が原因で起こる症状です。

大腸がん末期で見られる主な便通異常の症状は、以下のとおりです。

症状のタイプポイント・注意点
血便・黒色便が続く・がんの表面がもろく出血しやすい状態
・いつもと違う色の便が続く時は要注意
鮮血便・直腸やS状結腸など肛門に近い場所のがんで起こりやすい
・痔に似ているが便と血が混ざることが多い
暗赤色便・黒色便・大腸の奥で出血し、腸の中で変色した状態
・黒っぽい便が続くときは早めに受診を考える
便秘と下痢を繰り返す・がんで腸の内側が狭くなり便が詰まった状態
・便秘と下痢を繰り返すパターンは大腸のトラブルのサイン
便が細くなる・便通の変化が続く・狭くなった腸の隙間を便が通っている可能性
・血が混ざる変化が続くときは医療機関で相談

これらの症状が認められたときは、大腸がん末期の可能性もあるため、すみやかに医療機関を受診しましょう。

吐き気・食欲不振・体重減少

がんが進行すると、吐き気や食欲不振、体重減少なども見られます。がんの影響で腸を塞いでしまう「腸閉塞」になると、食べ物が通過障害を起こし、強い吐き気や嘔吐が起こります。

食欲不振は、がん細胞が「炎症性サイトカイン」という物質を放出することが原因です。食事が摂取できないことに加え、がん細胞は増殖するために体の栄養素を大量に消費します。

食事が取れないときは、少量でもカロリーが豊富な栄養補給剤、栄養バランスの取れた補助食品などを摂取しましょう。

近年、標準的な栄養療法だけでなく、さまざまな食品成分の研究も進められています。ウコンなどに含まれるクルクミンが、がんの増殖や転移を抑える効果を調べた研究も行われています。(※3)ただし、まだ研究段階であり、人での治療法としては確立されていません。

肺・肝臓・骨への遠隔転移による症状

大腸がんのステージⅣは、がん細胞が血液やリンパの流れに乗り、大腸から離れた臓器に新しいがんの塊(転移巣)をつくった状態です。主な転移先の臓器は、以下のとおりです。

転移先転移後の主な症状
肝臓・初期は症状がないことがほとんど
・腫瘍が大きくなると、腹部膨満感や黄疸、全身のむくみ、倦怠感などが出現する
・初期は無症状であることが多い
・進行すると、慢性的な咳や血の混じった痰、胸痛、息切れなどが見られる
・骨が脆くなり、くしゃみや寝返りなどで骨折するおそれがある
・体を動かしていなくても痛みがでることもある
・背骨に転移すると、手足の痺れなどが起こりえる

ほかの臓器への転移があっても、薬物療法や放射線治療などによって、症状を和らげたり、がんの進行を遅らせたりする治療法はあります。つらい症状があれば我慢せず、担当医に伝えることが大切です。

大腸がん末期(ステージⅣ)の予後

大腸がん末期(ステージⅣ)の予後は、主に以下の3つの要素で変わります。

評価のポイント内容
ご本人の状態・年齢や日頃の体力
・心臓病や糖尿病などの持病の有無
がんの広がり方・転移している臓器の場所
・肝臓や肺など転移している病変の数
・全身への広がり具合
がんの性質と治療への反応・がん細胞の遺伝子タイプ
・抗がん剤や分子標的、免疫療法などの効果
・治療で症状がどこまで抑えられるか

実際に、ステージⅣと診断されても悲観的になりすぎてはいけません。治療を続けながら、長期にわたり穏やかに過ごされている事例も報告されていますが、効果には個人差があります。万が一のために、どのような医療ケアを受けたいかを医師や家族と話しておくのも大事です。

大腸がん末期の治療法と緩和ケア

大腸がん末期の治療目標には、がんの進行をできるだけ遅らせることと、つらい症状を和らげることがあります。ここでは、大腸がん末期の治療法と緩和ケアとして、以下の内容を解説します。

  • 化学療法・分子標的薬・免疫療法の選択肢
  • 放射線治療・外科手術による症状緩和
  • ステージごとの治療の違い

化学療法・分子標的薬・免疫療法の選択肢

ステージⅣの大腸がんでは、がん細胞が全身に広がっている可能性があるため、飲み薬や点滴で全身に効果を届ける薬物療法が治療の中心です。患者さんのがんの性質や体の状態に合わせて、化学療法(細胞障害性抗がん剤)や分子標的、免疫療法が行われます。

化学療法は、古くから用いられている抗がん剤治療です。がん細胞が分裂して増殖するのを防ぎ、がんを小さくする効果が期待できます。ただし、正常な細胞にも影響を与えて副作用も出やすい点に注意が必要です。吐き気止めなど副作用を抑える薬も進歩しています。

分子標的薬は、がん細胞が増えるために必要な特定の部分(分子)だけを狙い撃ちする薬です。正常な細胞へのダメージが比較的少なく、特定の遺伝子変異を持つタイプのがんに高い効果が期待できます。ただし、治療前に、がん細胞の遺伝子を調べる検査が必要です。

免疫細胞が、がんを攻撃する力を強める免疫療法という選択肢もあります。がん細胞は、免疫細胞にブレーキをかけることで攻撃から逃れますが、免疫チェックポイント阻害薬はそのブレーキを解除する働きをします。

これらの薬物療法は、がんの進行を遅らせ、QOLを保ちながら、穏やかな時間を少しでも長く過ごすことを目指す治療です。

放射線治療・外科手術による症状緩和

薬物療法と並行して、大腸がんが引き起こすつらい症状を和らげる方法には、放射線治療や外科手術があります。

放射線治療は、骨転移に対して疼痛緩和目的で行われる治療です。脳への転移による神経症状(めまいや麻痺など)の緩和や、がんからの出血を止める場合にも用いられます。特定の部位にピンポイントで照射するため、体への負担は比較的小さいことが特徴です。

症状緩和のための外科手術は、主に腸閉塞の治療として選択されます。腸閉塞を起こしていることで、食事もできず、吐き気が強いため、苦痛を取り除く目的で行われます。

主な外科手術は、以下のとおりです。

  • バイパス手術:新しい便の通り道をつくる手術
  • 人工肛門手術:がんの手前から便の出口をお腹につくる手術
  • ステント留置:ステントを留置して狭くなっている腸を広げる手術

これらの治療は、痛みや食事の困難といった直接的な苦痛を取り除くことで、患者さんが自分らしい生活を取り戻す大きな助けとなります。

ステージごとの治療の違い

大腸がんの治療は、がんの進行度(ステージ)によって目標が大きく異なります。根治を目指す早期がんと、がんと共存していく末期(ステージⅣ)の治療は、以下の表のとおりです。

ステージ主な治療目標治療法の中心
早期(0〜Ⅲ期)がんを完全に取り除く・内視鏡治療、外科手術
・必要に応じて補助化学療法
末期(Ⅳ期)・がんの進行を抑える
・QOLを維持・向上させる
・薬物療法
・放射線治療や外科手術、緩和ケア

近年、治療の初期段階から緩和ケアを積極的に取り入れることの重要性が指摘されています。ある研究では、緩和ケアプログラムの導入は、終末期に過度な集中治療を避け、より穏やかに過ごせる可能性が示されています。(※4)

大腸がんの治療の際は、医師とよく相談しながら方針を決定することが大切です。

大腸がん末期(ステージⅣ)にならないようできること

大腸がんは、早期発見ができれば根治を目指せる疾患です。ポリープの段階であれば、内視鏡で切除でき、身体的侵襲も少なくて済みます。

「自分は大丈夫」といった思い込みが、大腸がんの発見を遅らせる要因となります。ここでは、大腸がん末期にならないようにできる対策として、以下の3つを紹介します。

  • 定期検診
  • 生活習慣の改善
  • 便の性状のチェック

定期検診

大腸がんの早期発見には定期検診にいくことが大事です。特に、がんになる前のポリープの段階で発見し切除できれば、がんの発症リスクを低減できる可能性があります。

大腸がんの定期検診では、便潜血検査と大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の2種類が行われます。便潜血検査は、便に混じった目に見えない微量の血液を調べる方法です。体への負担が少なく、自治体や職場での健康診断でも広く行われています。

便潜血検査で陽性だった場合に行われる検査が、大腸内視鏡検査です。大腸内視鏡検査では、肛門からカメラを挿入し、医師が直接大腸の内部を隅々まで観察します。がんやポリープの発見だけでなく、発見したポリープをその場で切除できることが特徴です。

大腸がん検診を定期的に受けることで、異常があっても治療の選択肢が多く、早い段階で対応できます。

生活習慣の改善

生活習慣の乱れが、大腸がんの発症に深く関わっていることは、多くの研究で明らかになっています。(※5)大腸がんを予防するには、リスクを高める習慣を少しずつ減らし、体を守る習慣を増やすことが大切です。

生活習慣の見直しのポイントを、以下の表にまとめました。

生活習慣
食事のバランスを整える・赤肉や加工肉(ハム、ソーセージなど)の過剰摂取をひかえる
・食物繊維が豊富な食品(野菜や果物、きのこ類、海藻など)を積極的に摂る
適度な運動習慣をつける・座っている時間が長いと、大腸がんのリスクを高める(※6)
・ウォーキングや軽いジョギングを週に2〜3日行う
体重を管理する肥満体型はがんのリスクを高める要因である
禁煙・節酒を心がける・禁煙する
・休肝日を設けたり、節度のある嗜み方を心がけたりする

少しでも生活習慣を改善し、大腸がんになるリスクを下げましょう。

便の性状のチェック

毎日の便は、お腹の中の状態を正直に映し出す「体からのお便り」です。トイレのあと、流す前にほんの少し便を観察することで、大腸の異常を示すサインに気づける可能性があります。

排便の異常は、痔や一時的な体調不良でも起こることがあります。しかし、これまでと違う状態が2週間以上続く場合は、自己判断せずに消化器内科や胃腸科を受診してください。年齢に関わらず、気になる症状があれば、専門医に相談することが早期発見に大切です。

まとめ

大腸がんの末期(ステージⅣ)と診断されたからといって、何もできないわけではありません。適切な治療、緩和ケアを行うことで、QOLの維持・向上に努め、より良い生活を送れるようサポートします。

しかし、重要なのは、大腸がんが進行する前に手を打つことです。大腸がんは早期発見・早期治療により、より良い結果につながる可能性があります。

定期的な検診やバランスのとれた食事・運動などの生活習慣の見直しを心がけましょう。内視鏡ベルラクリニック銀座では、大腸がんの相談も受け付けているのでぜひお気軽にご相談ください。

参考文献

  1. National Cancer Institute:「Cancer Stat Facts: Colorectal Cancer」.
  2. 一般社団法人日本大腸肛門病学会:「大腸がんが肝臓に転移したら…?」.
  3. Ma K, Shen Y, Hu J, Li J, Zhang X.Curcumin as a therapeutic agent in liver cancer: a systematic review of preclinical models and mechanisms.Eur J Med Res,2025,30,1,p.640.
  4. Hua M, Lu Y, Ma X, Morrison RS, Li G, Wunsch H.Association Between the Implementation of Hospital-Based Palliative Care and Use of Intensive Care During Terminal Hospitalizations.JAMA Netw Open,2020,3,1,e1918675.
  5. Matsuda T, Fujimoto A, Igarashi Y.Colorectal Cancer: Epidemiology, Risk Factors, and Public Health Strategies.Digestion,2025,106,2,91-99.
  6. Keum N, Cao Y, Oh H, Smith-Warner SA, Orav J, Wu K, Fuchs CS, Cho E, Giovannucci EL.Sedentary behaviors and light-intensity activities in relation to colorectal cancer risk.Int J Cancer,2015,138,9,2109-2117.

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髙橋 敬二

内視鏡ベルラクリニック銀座
院長髙橋 敬二

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