トイレをする時に便に血が混じっているのを見つけて「もしかして大腸がんでは?」と不安がよぎった経験がある方もいるのではないでしょうか。
一般的に血便は大腸がんが発する数少ない初期サインと言われており、自覚症状が少ないため注意すべきです。
この記事では、大腸がんと痔の出血の違いだけでなく、早期発見をするための検査方法に関して解説します。
自身の安心と健康維持に重要な内容となっているため、ぜひ最後まで読むことを推奨します。
大腸がんの初期には血便が出る

大腸がんの初期症状である血便について、以下の4つのポイントを確認しましょう。
- 血便が出る理由
- 進行に伴う症状の変化
- 血便以外の初期症状
- 心配ないケースもある
血便が出る理由
大腸にがんができると便が通過する際に粘膜を擦ることで出血し、血便が出ることが多いです。
主に大腸がんの表面が、潰瘍化・壊死して摩擦で破れやすくなることに原因があると言われています。
また、がんの部分が潰瘍状にただれて出血するケースもあるようです。
血便の特徴としては、鮮やかな血便以外にもわずかに血液が混じる「便潜血」や、消化管で発生した出血が混じる黒っぽい便などもあるため、注意しておきましょう。
進行に伴う症状の変化
大腸がんは進行するにつれて血便の症状が悪化するため、理解を深めておくことが重要です。
最初は拭いた紙に血が付く程度ですが、次第に便全体に混ざるようになります。
症状が悪化すると、ほぼ毎回の排便で見られるようになり便器の水が赤く染まることもあります。
出血が慢性的になると貧血のリスクもあり危険だと言えるでしょう。
少しでも血便の変化に気づいたら、大腸がんが進行しているおそれがあるため迅速に医師に相談することが大切です。
もしも放置してしまったら、がんが腸全体を塞いでしまい「腸閉塞(ちょうへいそく)」による緊急手術の危険性があるため注意しましょう。
血便以外の初期症状
大腸がんになった場合、血便以外にも様々な初期症状が現れることがあります。
- これまでは快便だったのに、急に便秘がちになった
- 便秘と下痢を繰り返すようになった
- 便が以前よりも細くなった気がする
- 排便後も、まだ便が残っているような感じがする(残便感)
- お腹がゴロゴロ鳴ったり、張ったりすることが増えた
- 健康診断で貧血を指摘された、または顔色が悪いとよくいわれる
- 階段を上るだけで動悸や息切れがする
- 最近なんだか疲れやすく、身体がだるい状態が続く
- ダイエットをしていないのに、体重が減ってきた
これらの症状は、大腸がんが原因でわずかな出血が続くことで貧血になったり、体の栄養を消費したりすることで起こります。
もしも複数の症状が重なるようなら、大腸がんの可能性も考慮して検査を受けることを推奨します。
大腸がんと痔の出血の違い

痔と大腸がんの出血の特徴的な違いを、表にまとめたので参考にしてください。
| 項目 | 痔(いぼ痔・きれ痔など) | 大腸がん |
| 血の色 | 鮮やかな赤色(鮮血)が中心 | 暗い赤色(暗赤色)から鮮血まで様々 |
| 便との関係 | 便の表面に付着、または排便後に滴下 | 便と血液が混じり合っていることが多い |
| そのほかの特徴 | 排便時に紙に付く、便器が赤くなる | 粘液が混じること(粘血便)がある |
| 伴う症状 | ・肛門の痛み ・かゆみ ・腫れ | ・腹痛 ・便秘 ・下痢 ・残便感 ・貧血症状 |
痔の出血は空気に触れて間もないため鮮やかな赤色ですが、大腸がんの出血は、がんができた場所で色が異なることが多いです。
とはいえ血液の色の違いはあくまで一般的な目安であるため、自身で見分けることは難しいと言えるでしょう。
しかし、昨今の医療機関では精度の高い診断を行うため、出血の原因をより正確に特定します。
例えば画像増強内視鏡(IEE)という技術が使われており、がん組織に特徴的な血管の模様を浮かび上がらせることが可能です。(※1)
少しでも血便が気になったら自己判断で放置せず、消化器内科や肛門科を受診するようにしましょう。
血便が見られるほかの病気

大腸がん以外でも血便が見られる病気はいくつかあります。
ここでは「主な病気」と「血便の色での見分け方」を解説していきます。
主な病気
血便の原因となる主な病気には、大腸ポリープや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、大腸憩室(けいしつ)出血、虚血性腸炎、感染性腸炎などがあります。
大腸ポリープは大腸の粘膜にできる隆起性の病変と言われており、良性のものが多いですが一部は大腸がんへと進行するリスクが考えられます。
出血は比較的少量であるため、大半は便に血が混じる程度です。
炎症性腸疾患は腸に慢性的な炎症が起こる病気で、炎症の部位が大腸の粘膜の場合は潰瘍性大腸炎、口から肛門まで消化管の場合がクローン病と呼ばれます。
炎症性腸疾患は血便のほか、下痢や腹痛を伴うことが多いです。
大腸憩室出血は大腸の壁にできた袋状のくぼみ(憩室)から出血する状態で、高齢者に多く見られます。
大量の血便が出ることが特徴で、多くの場合は腹痛を伴いません。
虚血性腸炎は大腸への血流が一時的に悪くなることで、腸の粘膜に炎症や潰瘍ができる病気です。
急な腹痛のあとに血便が出ることが多く、高齢者や動脈硬化のある方に起こりやすい傾向にあります。
感染性腸炎は細菌やウイルスなどの感染により腸に炎症が起こる病気です。
下痢や腹痛とともに血便が出ることがあり、食中毒などが原因となることが多いです。
血便の原因となる病気は様々で、それぞれ症状や治療法が異なります。
血便が見られた場合には自己判断は避けて、早めに医療機関を受診するようにしましょう。
血便の色での見分け方
血便の色は出血している場所を推測するための手がかりと言えます。
便の色での見分け方を表にまとめたので、確認していきましょう。
| 便の色 | 考えられる出血部位 | 主な病気の例 |
| 鮮血便 (真っ赤) | 肛門、直腸など肛門に近い場所 | 痔、裂肛(きれ痔)、直腸がん、大腸ポリープ |
| 暗赤色便 (赤黒い) | 大腸の奥(結腸など) | 大腸がん、大腸ポリープ、大腸憩室出血、虚血性腸炎 |
| 粘血便 | 大腸全般 | 潰瘍性大腸炎、クローン病、感染性腸炎 |
| 黒色便 (タール便) | 食道、胃、十二指腸 | 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃がん |
便の色によって出血部位をある程度推測できますが、病気の特定まではできません。
血便はあなたの体が発している重要なサインであるため、色・量・頻度にかかわらず、一度でも血便に気づいた場合はすぐに医療機関に相談するべきです。
消化器内科など専門の医師から正確な診断を受けることを推奨します。
大腸がんを早期発見するための検査方法

大腸がんは早期の段階で発見できれば、体への負担を最小限に抑えて治癒を目指せる病気です。
それでは、大腸がんを早期発見するための検査方法を解説していきます。
- 血便が出たときに受診すべき診療科
- 便潜血検査
- 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
- 注腸検査・CT検査
血便が出たときに受診すべき診療科
前提として、血便に気づいたら自己判断で様子を見ることは絶対にやめましょう。
消化器内科や胃腸科・肛門科・内視鏡専門クリニックを受診することを推奨します。
かかりつけの医療機関がある場合には、まず担当医に相談し専門医を紹介してもらうのも良い方法でしょう。
以下の症状が一つでも当てはまる場合は、早めの受診を心がけるようにすべきです。
- 血便が繰り返し出る、または量が増えてきた
- 便に血だけでなくネバネバした粘液も混じっている
- 便秘や下痢を繰り返すなど、お通じのリズムが変わった
- 便が以前より細くなった気がする
- お腹の張りが続く・たまにお腹が痛む
- 特別な理由がないのに体重が減ってきた
- 健康診断で貧血を指摘された
便潜血検査
便潜血検査は大腸がんの早期発見のために行われる方法の一つで、便の中に目に見えないほど微量な血液が混じっていないかを調べます。
便潜血検査で陽性と判定された場合、大腸のどこかから出血していることが多いです。
しかし、陽性だからといって必ずしも大腸がんというわけではなく、痔や良性のポリープ・腸の軽い炎症が原因である可能性も十分にあります。
また便潜血検査で陽性となった方が精密検査(大腸内視鏡検査)を受けると、3〜5%の方に大腸がんが見つかると報告されています。(※2)
便潜血検査のメリットとデメリットは以下のとおりです。
| メリット | デメリット |
| 自宅で簡単に便を採取できる | 出血していない、ごく初期のがんは見つけられない |
| 食事制限がなく、身体的な負担が少ない | 痔など、がん以外の原因でも陽性になることがある |
| 費用が比較的安い | 陰性でも、がんの可能性を完全に否定はできない |
がんであっても常に出血しているわけではないため、検査で陰性と出ても安心はできません。
もしも血便など気になる症状がある場合には、検診の結果にかかわらず専門医に相談するようにしましょう。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸内視鏡検査は一般に「大腸カメラ」と呼ばれ、大腸がんの診断で重要な検査です。
メリットは診断と治療を同時に行える可能性があることで、疑わしい部分を見つけた際には組織の一部を採取(生検)し、がん細胞の有無を調べることで確定診断ができます。
また、がんになる可能性のある大腸ポリープを発見した場合、その場で切除することもがん予防の重要な方法だと言えるでしょう。
近年、内視鏡技術は大きく進歩しており、画像増強内視鏡(IEE)という技術が使われています。
IEEが診断の精度を向上させたことで、従来の白色光の内視鏡では見つけるのが難しかった初期のがんの発見も容易になりました。(※2)
大腸がんが疑われる症状が見られた場合は、大腸内視鏡検査を検討してください。
注腸検査・CT検査
大腸がんの検査で行われる方法として、注腸検査やCT検査もあります。
注腸検査やCT検査は内視鏡検査が難しい場合や、がんの広がりを詳しく調べる目的で実施されます。
注腸エックス線検査(バリウム検査)は、肛門からバリウム(造影剤)と空気を注入し、大腸を膨らませた状態でレントゲン撮影をする検査です。
大腸全体の形や、がんによって腸が狭くなっていないか(狭窄)などを大まかに把握できます。
CT検査は、X線を使って身体の断面図を撮影する方法です。
大腸がんそのものを見つけるのではなく、腸壁にできたがんの深さや周囲のリンパ節やほかの臓器に広がっていないかなどを調べます。
まとめ
血便の原因は痔など様々ですが、大腸がんのサインである可能性も否定できません。
色や量だけで「きっと痔だろう」と自己判断してしまうのは危険であるため絶対にやめましょう。
一度でも血便に気づいたら、まずご自身の安心のために消化器内科や肛門科・内視鏡専門クリニックなどに相談するべきです。
大腸がんは早期に発見できれば治る可能性が高い病気なので、迅速な行動が重要です。
内視鏡ベルラクリニック銀座では、内視鏡専門医による大腸カメラ検査を実施しています。
血便以外にも気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
参考文献
- Sakamoto T, Akiyama S, Narasaka T and Tuchiya K. “Advancements and limitations of image-enhanced endoscopy in colorectal lesion diagnosis and treatment selection: A narrative review.” DEN open 6, no. 1 (2026): e70141.
- 公益財団法人 日本対がん協会:「大腸がんの基礎知識〜症状と治療〜」.




