便が細い日が続くと「何かの病気かな」「検査したほうが良いのかな」と不安になりますよね。
便が細くなる原因は、大腸がんだけとは限りません。痔やストレス、一時的な生活習慣の乱れなど、さまざまあります。
この記事では、便が細くなる原因や解消法、検査方法までを詳しく解説します。正しい知識を得て、ご自身の健康を守りましょう。
便が細くなるのは大腸がんのサインの可能性

便が細くなるのは大腸がんの症状の一つです。大腸がんは、大腸の壁の内側にできる悪性の腫瘍です。がん細胞が増殖して腫瘍が大きくなると、腸の内側が狭くなるため、便が通過する際に形が細くなってしまいます。
以下のような症状が見られる場合は、大腸がんの可能性があり、注意が必要です。
- 細い便が2週間以上続いている
- 便に血が混じる(血便)
- 便秘と下痢を繰り返す
- お腹が張る、腹痛がある
- 便を出し切った感じがしない(残便感)
- 体重減少や貧血
ただし、数回細い便が出ただけで、大腸がんと決まるわけではありません。気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに消化器内科などの医療機関を受診することをおすすめします。
便が細くなる原因と考えられるその他の病気

便が細くなる原因は必ずしも大腸にあるとは限りません。便が細くなる原因と考えられる大腸がん以外の病気は、以下の4つです。
- 痔・肛門狭窄
- 過敏性腸症候群(IBS)による便通異常
- 大腸ポリープなど良性疾患による狭窄
- 一時的な生活習慣の乱れ
①痔・肛門狭窄
痔や肛門狭窄などの肛門のトラブルは、便が細くなる要因の一つです。
硬い便が続くと、肛門の皮膚が繰り返し切れてしまいます。傷が治る過程で硬い組織に置き換わることで皮膚の柔軟性が失われ、肛門が狭くなり、便が細くなることがあります。
大きないぼ痔が肛門の外に脱出する場合でも、便の通り道が狭くなり、細い便になるでしょう。
肛門のトラブルが原因であれば、細い便に加えて排便時の強い痛みや排便後の出血、残便感などが見られます。当てはまる症状が認められるときは、すみやかに医療機関を受診してください。
②過敏性腸症候群(IBS)による便通異常
過敏性腸症候群(IBS)によっても便が細くなることがあります。
過敏性腸症候群はストレスや不規則な生活により、腸の運動機能に異常が生じ、腹痛や便通の異常などが慢性的に続く病気です。
過敏性腸症候群の症状は、以下のタイプに分けられます。
| タイプ | 特徴 |
| 下痢型 | 突然の腹痛とともに、水のような下痢が頻繁に起こる |
| 便秘型 | お腹が張り、ウサギのフンのような硬い便が出る |
| 混合型 | 下痢と便秘を数日おきに繰り返す |
細い便は、便秘型の人が強くいきんだり、腸がストレスでけいれんしたりした際に起こりやすい症状です。下痢が続くことで、形のある十分な太さの便が作れないこともあります。
③大腸ポリープなど良性疾患による狭窄
大腸の粘膜にできるポリープが大きくなると、腸の内側が狭くなり、便の通り道が妨げられ、便が細くなることがあります。
大腸ポリープの多くは良性で、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。(※1)ポリープのなかには、放置するとがん化する可能性のある腫瘍性ポリープが存在します。細い便だけでなく、血便や便秘、お腹の張りなどの症状も見られることがあります。
細い便が1週間以上続く場合は、早めに検査を受け、原因を特定することが大切です。
④一時的な生活習慣の乱れ
日々の生活習慣の乱れが原因で、一時的に便が細くなることもあります。
便が細くなる生活習慣の要因は以下のとおりです。
| 生活習慣の乱れ | 詳細 |
| 食事の乱れ | ・食物繊維や水分が不足すると便が硬くなり、スムーズに排出されにくくなる ・極端なダイエットで食事量が減ると、便の量が減り細くなる |
| 運動不足 | ・体を動かさないと、腸のぜん動運動が鈍くなる ・便を押し出す力が弱まり、腸内に長く留まることで水分が奪われ硬くなる |
| ストレス・睡眠不足 | 自律神経のバランスが乱れることで、腸の正常な働きが妨げられる |
細い便が出ないよう、日頃から規則正しい生活習慣を心がけましょう。
細い便の解消法

細い便を解消するための方法には、「①生活習慣の改善」と「②医療機関の受診」の2つがあります。ご自身の体の状態と向き合いながら、細い便に適切に対処していきましょう。
①生活習慣の改善
細い便を解消するには、日々の暮らしを見直し、腸の調子を整えることが重要です。
生活習慣を改善するポイントを以下の表にまとめました。
| 生活習慣の改善 | 詳細 |
| 水分を十分に摂る | こまめに水分を補給する |
| 食物繊維をバランスよく摂る | 腸を刺激する不溶性食物繊維と、便を柔らかくする水溶性食物繊維をバランスよく食事に取り入れる |
| 適度な運動を習慣にする | ・ウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなどの運動は、腸の血行を促進し、働きを活発にする ・エレベーターを階段に変えるなど、日常生活のなかで体を動かす意識を持つ |
| 排便の習慣をつける | ・毎日なるべく決まった時間にトイレに座る ・便意がなくても数分間座ってみる |
これらの方法は、すぐに結果が出るとは限りません。まずは1〜2週間ほど続けて、便の状態に変化があるか様子を見ましょう。
②医療機関の受診
医療機関の受診は、細い便という異常を早期に見つけ、治療につなげるきっかけとなります。
生活習慣を見直しても細い便が改善しなかったり、以下の症状が伴ったりする場合は、消化器内科や胃腸科などの受診をおすすめします。
- 細い便が2週間以上続いている
- 便に血が混じる、あるいは便が黒っぽい
- ダイエットなどをしていないのに体重が減ってきた
- 強い腹痛やお腹の張りが続く
- 健康診断で貧血を指摘された、または立ちくらみがある
さまざまな検査で細い便の原因を特定し、適切に対処することが大切です。
細い便が出た場合の検査方法

細い便が出た原因を正確に調べるために、医療機関ではいくつかの検査を行います。
細い便の原因を調べるために行われる代表的な検査は以下の3つです。
- 腹部レントゲン
- 便潜血検査
- 大腸内視鏡検査
①腹部レントゲン
細い便が出た場合の検査方法の一つが、胸部レントゲン検査です。
腹部レントゲン検査は、腹痛やお腹の張り、吐き気などの症状を伴う場合に実施される方法です。腸閉塞(ちょうへいそく)など、緊急性の高い病気が隠れていないかを確認するために行われます。
ただし、腹部レントゲン検査は、細い便の原因を直接特定する診断ではありません。しかし、お腹の中の全体像を把握し、詳しい検査に進むべきか、緊急の処置が必要かを判断するための重要な検査です。
②便潜血検査
便潜血検査は、便の中に血液が混じっていないかを調べる検査です。体への負担が少なく、大腸がん検診の中心的な検査法として推奨されています。(※2)
検査で陽性の場合は、便に血液が混じっていることを意味しますが、必ずしも大腸がんというわけではありません。痔や大腸の炎症など、がん以外の原因で陽性になることもあります。
ただし、出血の原因を特定する必要があるため、精密検査として大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。
検査が陰性となった場合でも注意が必要です。がんやポリープは常に出血しているわけではありません。たまたま出血していないタイミングで検査をすると、病気があっても陰性になってしまう可能性があります。
細い便などの自覚症状が続いている場合は、検査結果だけで安心せず、消化器内科などの専門医に相談してください。
③大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は、細い便の原因を調べるうえで、正確な情報が得られる検査の一つとされています。内部を観察するだけでなく、診断から治療、将来の予防まで多くの役割を担っています。
大腸内視鏡検査の特徴は以下のとおりです。
| 特徴 | 詳細 |
| 病変の直接観察 | 大腸がんやポリープ、炎症などの有無、大きさ、形、場所をリアルタイムの高画質な映像で詳細に確認できる |
| 組織の採取 | ・疑わしい病変が見つかった場合、その組織の一部を採取できる ・採取した組織を顕微鏡で調べることで、がん細胞の有無などを診断できる |
| ポリープの切除 | がん化する可能性のあるポリープを発見した場合、その場で切除可能 |
細い便が長く続く場合は、検査に加えてポリープの切除などをその場で治療できる大腸内視鏡検査を受けることがおすすめです。
まとめ
細い便は、痔や生活習慣の乱れ、過敏性腸症候群など、さまざまな原因で起こります。細い便が出たからといって、すぐに大腸がんと結びつけて過度に心配する必要はありません。
大切なのは、自己判断で放置しないことです。細い便が続いたり、腹痛や血便など気になる症状がある場合は、医療機関を受診することをおすすめします。不安な気持ちを一人で抱え込まず、まずは専門医に相談することから始めましょう。
参考文献
- 日本消化器病学会:「患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド2023」
- 国立がん研究センターがん対策研究所:「大腸がんファクトシート2024」





