最近、コロコロとした硬い便が続いて「ただの便秘かな」と気になりながらも放置していませんか? 便の形や硬さの変化は、食生活やストレスによる一時的なものから、腸の病気が隠れているケースまで幅広いです。
自己判断では原因を見極めにくいですが、大腸がんの初期でも便が変化することがあり、見逃したくないサインの一つです。
この記事では、コロコロ便が起こる代表的な原因、注意すべき症状、大腸がんとの関係、検査方法までわかりやすく解説します。ご自身の体と向き合うきっかけとして、ぜひ最後までお読みください。
コロコロ便とはどんな状態?

コロコロ便とは医学的に「兎糞状便(とふんじょうべん)」と呼ばれ、主に便秘の代表的な症状の一つです。便の状態は「お腹の鏡」とも言われ、健康変化を敏感に反映します。
一時的な場合は心配ありませんが、慢性的に続くようであれば体からのサインである可能性があります。まずはご自身の便の状態を知ることが大切です。
ここでは、コロコロ便の特徴と、正常な便との違いを解説します。
兎糞状便(ウサギのフンのような便)の特徴
兎糞状便は、ウサギのフンのように小さく、硬く、一つひとつが分離した塊状の便を指します。この状態になる主な原因は、便が腸の中を通過するのに時間がかかりすぎることです。
便が長時間にわたって大腸内にとどまると、腸の壁から水分が必要以上に吸収されてしまいます。その結果、便は水分を失って硬くなり、小さくゴツゴツとした形状になってしまい、便秘のような症状になります。
このような便が出るときには、以下のような感覚を伴うことがあります。
- 強くいきまないと便が出ない
- 排便に時間がかかる
- 便が出ても少量ですっきりしない(残便感)
- お腹が張っている感じがする(腹部膨満感)
これらの症状は、便がスムーズに排出されていないサインです。たとえ毎日排便があったとしても、便がコロコロとしている場合は、便秘の状態にあると考えられます。
正常な便との違い
健康的な理想の便は、コロコロとした兎糞状便とは大きく異なります。ご自身の便の状態を客観的に把握するために、正常な便とコロコロ便の違いを比べてみましょう。
正常な便とコロコロ便の特徴は以下のとおりです。
| 項目 | 正常な便(理想的な状態) | コロコロ便(兎糞状便) |
| 形状 | 一本のバナナのような形をしている | 小さな塊がいくつも出てくっついている |
| 硬さ | 練り歯磨き粉くらいの柔らかさ | 硬くカチカチしている |
| 色 | 黄褐色〜茶褐色 | 濃い茶色や黒っぽい色になりがち |
| 排便時の感覚 | スルッと気持ちよく出る | 強くいきむ必要があり、痛みや残便感を伴うことがある |
| 水分量 | 約70~80% | 約60%以下 |
正常な便と兎糞状態では、排便困難感が大きく異なります。腸内で便の貯留時間が長いことで、便の水分が多く失われ、便秘の症状になっています。
コロコロ便の主な原因

コロコロ便の原因の多くは、大腸がんのような重い病気ではなく、日々の生活習慣に隠されています。コロコロ便を引き起こす主な原因として、以下の4つが挙げられます。
- 食物繊維・水分不足による便秘
- ストレス・IBS(過敏性腸症候群)
- 運動不足や加齢の影響
- 薬の副作用による便通異常
食物繊維・水分不足による便秘
食物繊維・水分不足が原因で、便が硬くなり、コロコロした状態になります。健康な便の約8割は水分でできており、体内の水分が不足すると、大腸は便から水分をより多く吸収します。その結果、便は水分を失って硬くなり、小さくちぎれたコロコロの形状になってしまうのです。
健康な便を作るためには食物繊維も欠かせません。食物繊維には、働きが異なる2つの種類があり、どちらもバランス良く摂ることが理想です。食物繊維の種類と主な働きを以下の表にまとめています。
| 食物繊維の種類 | 主な働き | 多く含まれる食品 |
| 水溶性食物繊維 | 便に水分を含ませて、ゲル状に柔らかくする働き | 海藻類、こんにゃく、熟した果物、大麦など |
| 不溶性食物繊維 | 便のかさを増やして腸を刺激し、排便を促す働き | きのこ類、豆類、ごぼう、穀物など |
これらの食物繊維が不足すると、便が十分に作られなかったり、腸の動きが鈍くなったりして便秘につながります。
ストレス・IBS(過敏性腸症候群)
ストレスは腸の働きを大きく乱し、コロコロ便の原因になる代表的な要因です。
腸は自律神経によって調整されており、脳と腸が密接に影響し合う「脳腸相関」の働きがあります。そのため、ストレスや緊張が続くと自律神経のバランスが崩れ、腸の動きが低下し、便がスムーズに運ばれなくなります。
結果、水分が過剰に吸収され、硬いコロコロ便が出やすくなるのです。検査で異常がなくても腹痛や便通異常が続く場合は、過敏性腸症候群(IBS)が疑われます。特に便秘型や便秘と下痢を繰り返す混合型でコロコロ便がよくみられます。
運動不足や加齢の影響
運動不足や加齢により腸の動きが低下すると、便の移動が滞りやすくなり、硬いコロコロ便が出やすくなります。加齢に伴って筋力が衰えると、排便時にいきむ力が不足し、スムーズに便を出しにくくなることがあります。
活動量が減ることで血流が滞り、腸への刺激も減少するため、排便のリズムが乱れやすくなります。これらの変化は、加齢そのものというよりも、生活習慣の変化によって引き起こされることが多いため、意識的な対策が大切です。
運動不足や加齢によって、腸には以下のような影響を与えます。
- 腹筋などの筋力低下により、便を押し出す力が弱くなる
- 腸の蠕動運動が鈍くなり、便の移動が遅くなる
- 活動量の低下によって血流と腸の働きが弱まる
日常的に軽い運動やストレッチを取り入れるだけでも、腸の働きを保つサポートになります。
薬の副作用による便通異常
内服している薬が原因で、コロコロ便などの便秘症状が現れることがあります。腸の動きを抑えたり、水分吸収に影響を与えたりする薬があると、便通異常の一因となることがあります。
「新しい薬を飲み始めてから便が硬くなった」と感じた場合は、副作用による影響を疑ってみる必要があります。
便秘を引き起こしやすい代表的な薬として、以下が挙げられます。
- 鉄剤(貧血治療薬)
- 一部の抗うつ薬や向精神薬
- 鎮痛薬(特にオピオイド系)
- 抗コリン薬(咳止めなど)
- カルシウム拮抗薬(高血圧治療薬)
ただし、自己判断で服用を中止するのは危険です。気になる場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。
大腸がんを疑うべきタイミング

コロコロとした硬い便が続いても、ほとんどは食生活やストレスなど一時的な要因によるものです。ただし、大腸がんは、がん全体で2番目に死亡率が高いという統計もあり、早期発見・早期治療が大事な病気です。(※1)
以下のような変化や症状が重なる場合は、大腸がんの可能性も疑う必要があります。
- 腸管が狭くなることで便が細く・硬くなる
- 血便・腹痛・体重減少などの症状
- 家族に既往歴がある
腸管が狭くなることで便が細く・硬くなる
大腸の中にがんやポリープができると、次第に腸の内側が狭まり、便の通り道がふさがれていきます。結果、通れる便の量や太さが制限され、鉛筆のように細くなったり、小さく途切れたコロコロ便になったりします。
便がスムーズに排出されにくくなるため、残便感を感じることもあります。一時的であれば問題ないことも多いですが、数週間以上慢性的に続く場合は、腸の中で何らかの異常が起きている可能性があります。
「いつもと違う便の形が続いている」という変化は、見逃さずに医療機関で相談することが大切です。
血便・腹痛・体重減少などの症状
コロコロ便に加えて血便や腹痛、原因不明の体重減少などが現れた場合は、大腸がんを含む病気の可能性が高まります。これらの症状は、がん細胞が腸の粘膜を刺激したり、炎症を起こしたりすることで現れるとされ、慢性的に続く場合は注意が必要です。
一つの症状でも長引く場合や、複数の症状が重なっている場合は、市販薬で様子を見るのではなく、早めに消化器内科を受診しましょう。
コロコロ便に加えて見逃してはならない症状と具体例を以下の表にまとめています。
| 症状 | 具体的な状態 | 注意したいポイント |
| 便に血が混じる | 鮮やかな赤い血、黒っぽい便、便器の水が赤く染まる | 痔と自己判断せず、出血が続く場合は早めの受診を |
| お腹の調子が悪い | 腹痛、腹部の張り、便秘と下痢を繰り返す | 数週間以上続く場合は消化器内科での評価を |
| 貧血の症状がある | 立ちくらみ、めまい、倦怠感 | 少量の出血が続いている可能性があり、血液検査が必要 |
これらの症状は体からの重要なサインです。気になる変化があれば、迷わず専門医に相談してください。
家族に既往歴がある
大腸がんは遺伝の影響を受ける場合があり、家族に大腸がんの人がいると、自分の発症リスクも高くなることが知られています。(※2)特に、親・兄弟姉妹・子どもなど近い家族に発症例がある場合は、注意が必要です。
もちろん、家族に既往歴があるからといって、必ず発症するわけではありません。ただし、リスクが高まることを考えると、自覚症状がなくても40歳前から検診を受けておくと安心です。
かかりつけ医に家族歴を伝え、定期的に検診の相談をすることで、リスクへの備えにつながります。
大腸がんの可能性が気になるときの検査方法

コロコロ便が続いたときは、どこに相談し、どのような流れで検査が進むのかを知ることが、安心につながります。ここでは、受診の流れや代表的な検査方法を解説します。
消化器内科での相談・受診の流れ
コロコロ便や腹痛などの症状が気になる場合は、「消化器内科」または「胃腸科」を受診しましょう。専門の医師が症状や体調の変化を丁寧に聞き取り、必要な検査を判断します。
受診前に、以下の情報をまとめておくことで、診察をスムーズに進めやすくなります。
| 確認される情報の種類 | 具体的な内容 |
| 症状の経過 | 便の状態が変化した時期、色・形の特徴、腹痛や残便感の有無など |
| 体調の変化 | 体重の急な減少、立ちくらみ、疲れやすさ、顔色の変化など |
| 家族歴・生活習慣 | 大腸がんの家族歴、現在の持病や服用中の薬・サプリメントの有無 |
これらの情報をもとに、便潜血検査や大腸カメラなどの必要性が判断されます。小さな違和感でも、気になることがあれば遠慮せず相談しましょう。
便潜血検査でスクリーニング
便潜血検査は、大腸がんの早期発見につながる体への負担が少ないスクリーニング検査です。便の中に混じる目に見えない微量の血液を調べることで、大腸がんやポリープなどの可能性をふるい分けます。
自宅で採便し、容器に入れて提出するだけの簡単な方法で、健診などでも広く行われています。採血や麻酔も不要で、手軽に受けられるのが大きな利点です。ただし、陽性=がんとは限らず、痔などの良性疾患が原因の可能性もあります。陰性であっても、がんが否定されるわけではありません。
陽性の場合は大腸カメラなどの精密検査が必要となるため、結果を過信せず、医師と相談しながら次のステップに進むことが重要です。
鎮静剤を使った苦しさに配慮した大腸カメラ
大腸カメラは、鎮静剤を使用することで痛みや苦しさを感じにくく、リラックスした状態で受けられる検査です。従来の「つらい」「怖い」などのイメージは変わりつつあり、個人差はありますが、眠っているような感覚のまま検査が行われます。
大腸の粘膜を直接観察できるため、病変の発見精度が高く、必要に応じてその場でポリープ切除も可能です。検査の基本的な流れは、以下のとおりです
- 事前準備:前日は消化の良い食事をとり、夜に下剤を服用する
- 検査当日:腸をきれいにする洗浄液を1〜2リットル飲む
- 検査中:鎮静剤を使用し、リラックスした状態で実施(約15〜30分)
- 検査後:鎮静が覚めるまで1時間ほど安静に休む
安心して受けられる体制が整っているため、不安がある方も一度相談してみると良いでしょう。
画像強調観察(IEE)など技術
内視鏡による診断精度は年々向上しており、その代表的な進歩が画像強調観察(IEE:Image-Enhanced-Endoscopy)という技術です。
従来の白色光による観察では見つけにくかった病変も、IEEでは特殊な光で粘膜表面の血管模様や微細な色調の違いを表示できます。これにより、小さなポリープや初期のがんも発見しやすくなります。
見つけた病変が悪性の可能性があるかどうかも詳しく評価できるため、治療方針の判断にも役立ちます。研究では、IEEが病変の検出率と特性評価を向上させることが確認されています。(※3)
こうした技術を取り入れることで、より正確な診断と早期治療が可能になります。
自治体の検診制度を利用する方法
特別な症状がなくても、定期的に大腸の健康状態を確認することは早期発見・早期治療につながります。その第一歩として、多くの市区町村では住民向けに大腸がん検診の制度を設けています。費用や手続きの面でも利用しやすく、がんを未然に防ぐ手段の一つです。
以下に、自治体が実施する大腸がん検診の主な内容をまとめています。
| 項目 | 内容 |
| 対象者 | 一般的に40歳以上(自治体により異なる) |
| 検査内容 | 便潜血検査が主に実施される |
| 費用 | 無料または数百円程度で受診可能 |
| 申込方法 | 広報誌・公式サイト・保健センターで案内を確認 |
大腸がんは、早期に見つけて治療を始めることが、治癒を目指すうえで重要です。「まだ大丈夫」と思わず、自治体の制度を上手に活用して健康管理に役立てましょう。
まとめ
コロコロ便の多くは、食事や水分不足、運動不足、ストレスなど、日常の習慣が原因です。まずは生活を振り返り、無理のない範囲で改善を始めてみましょう。便の状態は体からの大切なサインでもあります。
細い便や硬い便が続く、血便・腹痛・体重減少などの症状がある場合は、大腸がんなどの病気が隠れている可能性もあります。症状がなくても自治体の検診制度を活用して定期的にチェックしておくと安心です。
内視鏡ベルラクリニック銀座では、専門医による大腸内視鏡検査を行っています。気になる症状がある方や検査をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
- Matsumoto K, Hatakeyama Y, Seto K, Onishi R, Hirata K, Wu Y, Hasegawa T. Cost of illness for colorectal cancer in Japan – a time trend and future projections (1996-2035) based on governmental statistics. BMC Health Serv Res, 2023, 23(1), p.888.
- Keivanlou M-H, Amini-Salehi E, Joukar F, Letafatkar N, Habibi A, Norouzi N, Vakilpour A, Aleali MS, Rafat Z, Ashoobi MT, Mansour-Ghanaei F, Hassanipour S.Family history of cancer as a potential risk factor for colorectal cancer in EMRO countries: a systematic review and meta-analysis.Sci Rep,2023,13,p.17457.
- Sakamoto T, Akiyama S, Narasaka T, Tuchiya K. “Advancements and limitations of image-enhanced endoscopy in colorectal lesion diagnosis and treatment selection: A narrative review.” DEN open 6, no. 1 (2026): e70141.




