「大腸がん検診は毎年受けるべきなのか」と疑問に感じて、検診を先延ばしにしていませんか? 大腸がん検診は、早期発見を通じて大腸がんによる死亡を防ぐ可能性を高める手段です。
この記事では、大腸がん検診の目的・役割から早期発見のポイントまでわかりやすく解説します。未来の安心のために、検診の正しい知識を学んでいきましょう。
大腸がん検診は意味ない? 結論と検査の目的

大腸がん検診は、自身の命と健康を守るための手段であり、健康維持のためには受けることが推奨される検診です。ここでは、大腸がん検診の有効性や目的、意味ないと言われる理由、よくある誤解を解説します。
結論:大腸がん検診は早期発見に有効
大腸がん検診は、大腸がんの予防と治療の両方において重要であり、腫瘍の早期発見率を向上させると報告されています。(※1)
大腸がん検診の主な検査方法である便潜血検査は、進行がんの90%以上、早期がんの約50%、ポリープの約30%を発見可能とされており、毎年の受診が推奨されています。(※2)
意味ないと言われる理由とよくある誤解
大腸がん検診が意味ないと言われるのは、検査の特性に対する誤解が原因です。便潜血検査は、大腸がんのリスクを調べるために用いられる検査ですが、早期のがんやポリープは常に出血しているわけではありません。
たまたま出血していないタイミングで検査を行うと、陰性になり見逃されることがあります。陽性でも自己判断して精密検査を受けない場合、がんの発見が遅れる危険性があります。
大腸がん検診の目的
大腸がん検診の目的は、症状のない段階で、大腸がんやポリープの可能性がある人を見つけることです。この検診では、ふるい分け(スクリーニング)を行うことで、多くの人のなかから異常の可能性がある人を見つけます。
その結果、早い段階での発見や、精密検査・治療につなげることが可能です。まずは簡単な便潜血検査を行い、要精密検査となった方は大腸内視鏡検査に進みます。2段階のステップを踏むことで、効率的に早期発見につなげることができます。
大腸がん検診を受けないことで起こる3つのリスク

大腸がんは、発見が遅れることでさまざまなリスクが生じます。大腸がん検診を受けなかった場合に起こるリスクは以下の3つです。
- ステージが進行すると生存率が低下する
- 治療の選択肢が限られ身体的・経済的負担が大きくなる
- 便潜血検査の偽陰性を過信すると発見が遅れる
①ステージが進行すると生存率が低下する
大腸がんは、早期の段階では自覚症状がほとんどないと言われ、気づかないうちに進行してしまう危険性があります。(※3)診断されてから5年後に生存している方の割合(累計5年生存率)はステージが進行するごとに低下します。
ステージごとのがんの広がりと5年生存率について、以下の表にまとめました。
| ステージ | がんの広がり具合・目安 | 累計5年生存率 (2015年症例)(※4) |
| I | 腸の壁の筋肉の層までで留まっている状態 | 92.3% |
| II | 腸の壁を越えているが、リンパ節への転移はない状態 | 85.5% |
| III | 近くのリンパ節に転移している状態 | 75.5% |
| IV | 肝臓や肺など、離れた臓器に転移している状態(遠隔転移) | 18.3% |
②治療の選択肢が限られ身体的・経済的負担が大きくなる
大腸がんの発見が遅れると、治療の選択肢やその後の生活の質にも直結します。発見のタイミング次第で、体や心、経済的な負担が変わります。
大腸がんを早期発見した場合と、進行して発見された場合の治療法や負担は以下のとおりです。
| タイミング | 治療法 | 身体的負担 | 経済的負担 |
| 早期発見の場合 | 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を使ってがんの部分だけを切除する内視鏡治療で完了することが多い | ・入院は数日で済み、体へのダメージも少なくなる ・早期に仕事や日常生活へ復帰できる | 治療期間が短いため医療費を抑えられ、休職による収入減も最小限で済む |
| 進行して発見された場合 | 開腹手術に加え、抗がん剤治療や放射線治療を長期間行う必要がある | ・入院が長期化し、手術後の痛みや体力の低下に苦しむことがある ・吐き気や脱毛など、抗がん剤の副作用が出現する | ・治療が長期にわたるため、高額な医療費が継続的にかかる ・長期間仕事を休む必要があり、家計へ影響が生じる |
③便潜血検査の偽陰性を過信すると発見が遅れる
便潜血検査は優れた検査ですが、タイミングによっては偽陰性になることがあります。がんやポリープは常に出血しているわけではなく、検査の際に出血がなければ、結果は陰性になります。
大腸がんの発見の遅れを防ぐためには、毎年忘れずに検査を受けることが大切です。毎年繰り返し検査を受けることで、見逃しのリスクを減らすことができます。
大腸がん検診の種類と特徴

大腸がん検診の種類は主に、以下の3つに分けられます。
- 便潜血検査(一次検診)
- 大腸内視鏡検査(二次検診)
- その他の検査(CT・X線検査)
ここでは、それぞれの検査の内容や特徴について解説します。
便潜血検査(一次検診)
便潜血検査は、大腸がんやポリープの可能性を見つけるためのスクリーニング検査です。確定診断を行うものではなく、精密検査が必要な人を見つける「ふるい分け」の役割を担っています。
自宅で2日分の便を採取し、表面をこすって容器に入れて提出するだけで、痛みや体への負担もなく、自治体や職場の健診で広く実施されています。ただし、がんやポリープがあっても出血がなければ陰性になることがあり、逆に痔など良性の出血でも陽性になることがあります。
そのため、1回の結果に一喜一憂せず、毎年継続して受けることが早期発見への確実な一歩となります。
大腸内視鏡検査(二次検診)
大腸内視鏡検査は、便潜血検査で陽性反応が出た場合などに行われる精密検査です。
大腸内視鏡検査の特徴は以下のとおりです。
| 検査の詳細 | 内容 |
| 直接観察による正確な診断 | ・大腸の粘膜の色や形を直接見ることができる ・数ミリ程度の小さなポリープやごく早期のがんも高い精度で発見ができる |
| 組織採取(生検) | がんが疑われる病変が見つかった場合、その場で組織の一部を採取し、調べることができる |
| ポリープの切除 | 将来がんになる可能性のあるポリープが見つかった場合、その場で切除することができる |
その他の検査(CT・X線検査)
内視鏡検査が難しい場合には、CT検査やX線検査が選択されることがあります。過去に腹部の手術を受けていて腸の癒着が強い方や、ご高齢で身体への負担を抑えたい方などは、内視鏡の挿入が難しいケースがあります。
そのような場合に、体への負担が比較的少ないCT検査やX線検査が実施されることがあります。それぞれの検査の特徴を以下の表にまとめました。
| 検査方法 | 特徴 | メリット | デメリット |
| CT検査 | ・肛門から炭酸ガスを入れ、CTで撮影 ・コンピューターで3D画像を作成し、大腸内を観察する | ・内視鏡を挿入する苦痛がない ・検査時間も比較的短い | ・平坦な病変や小さなポリープは見つけにくい ・放射線被ばくがある |
| 注腸X線検査 | 肛門からバリウムと空気を入れ、体の向きを変えながらレントゲン撮影を行う | 大腸全体の形や、がんによる狭窄(きょうさく)の有無がわかりやすい | ・小さな病変は見逃すことがある ・検査中に何度も体の向きを変える必要がある |
これらの検査で異常が見つかった場合、確定診断や治療のためには、最終的に大腸内視鏡検査が必要になります。あくまで補助的な位置づけであることを理解しましょう。
早期発見のためのポイント4つ

大腸がんを早期発見するためには、以下の4つのポイントを理解することが重要です。
- 受診するタイミング(一般的な推奨年齢)
- 適切な検診間隔の目安
- 家族歴・持病がある場合は注意
- 信頼できる医療機関の選択
①受診するタイミング(一般的な推奨年齢)
大腸がん検診は、40歳以上の方を対象としています。(※3)初期段階の大腸がんは、自覚症状がほとんどなく気づくことが難しいため、40歳以降で大腸がん検診を受けることを推奨します。
ただし、食生活の乱れや肥満、喫煙やアルコール習慣などがある方は、大腸がんのリスクが高い可能性があり、40歳より前から検診を意識することが望ましいです。
②適切な検診間隔の目安
大腸がん検診の適切な間隔は、受ける検査の種類や個人のリスクによって異なります。
便潜血検査は、1回の検査では出血を捉えられない偽陰性になることもあるため、毎年継続することが重要です。陽性の場合は、前回の内視鏡検査からの期間にかかわらず、指示どおりに大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。
大腸内視鏡検査は、異常がなかった場合は2〜3年に1回、ポリープを切除した場合は、1〜2年後に再検査することを推奨します。
③家族歴・持病がある場合は注意
大腸がんのなかには、遺伝的な要因が関わるものや、特定の病気がリスクを高めるものがあります。以下の項目に当てはまる方は、早期からの専門的な検診が推奨されます。
- 家族歴:親、兄弟姉妹、子ども(第一度近親者)のなかに大腸がんになった方がいる
- 遺伝性疾患:血縁者に家族性大腸腺腫症ポリポーシスやリンチ症候群と診断された方がいる
- 既往歴:ご自身が過去に大腸ポリープを指摘されたり、切除したりした経験がある
- 持病:潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患を患っている
なかでも大腸がんの家族歴を持つ人は、家族歴がない人と比較して、大腸がんを発症するリスクが高いといわれています。(※5)ご自身が当てはまるかわからない場合、かかりつけ医や消化器内科の専門医に相談しましょう。
④信頼できる医療機関の選択
大腸内視鏡検査は、医師の技術や施設の設備によって検査の精度や快適さが変わります。安心して質の高い検査を受けるために、信頼できる医療機関を選ぶことは大切なポイントです。
医療機関を選ぶ際には、以下のような点をWebサイトなどで確認してください。
| 医療機関選択のポイント | 詳細 |
| 医師の専門性 | 日本消化器内視鏡学会が認定する専門医や、経験豊富な指導医が在籍しているか |
| 検査実績 | 大腸内視鏡検査の年間症例数が豊富か、実績を公開しているか |
| 苦痛への配慮 | 鎮静剤を使用して、眠っている間に楽に検査を受けられる選択肢があるか |
| 設備の充実度 | がんの早期発見を目的とした最新技術を導入しているか |
| 検査後の対応 | ポリープが見つかった場合に、その場で切除が可能か |
| プライバシーへの配慮 | ・女性医師による検査を希望できるか ・待合室やリカバリールームの環境は整っているか |
医療機関選びと同時に、ご家族や身近な方々の理解と協力を得ることも大切です。
まとめ
大腸がんは、早期に発見できれば、体への負担が少ない治療で改善を目指せる病気です。自覚症状がないまま進行することもあるため、検診を後回しにせず、定期的な受診が何より大切です。
40歳を過ぎたら、大腸がんのリスクが徐々に高まるとされており、毎年の便潜血検査を習慣化することが、将来の安心につながります。何も症状がないときこそ、検診を受けるタイミングです。
内視鏡ベルラクリニック銀座では、精度の高い大腸内視鏡検査を専門医が丁寧に行っています。検診や精密検査をご希望の方は、お気軽にご相談ください。
参考文献
- Jian Li, Zhi-Peng Li, Wen-Jie Ruan, Wei Wang.Colorectal cancer screening: The value of early detection and modern challenges.World Journal of Gastroenterology,2024,30,20,p.2726-2730.
- 日本消化器病学会:「患者さんとご家族のための大腸ポリープガイド2023」
- 国立がん研究センター がん対策研究所:「大腸がんファクトシート2024」
- 国立研究開発法人 国立がん研究センター:「院内がん登録2014-2015年 5年生存率集計報告書」
- Keivanlou M-H, Amini-Salehi E, Joukar F, Letafatkar N, Habibi A, Norouzi N, Vakilpour A, Aleali MS, Rafat Z, Ashoobi MT, Mansour-Ghanaei F, Hassanipour S.Family history of cancer as a potential risk factor for colorectal cancer in EMRO countries: a systematic review and meta-analysis.Sci Rep,2023,13,p.17457.





